演奏で自信がついたら、仕事も人間関係も変わった話
演奏は好きだけど、自信が持てず人生全体が停滞していた頃
楽器を始めて数年が経ち、演奏そのものは生活の一部になっていました。しかし、練習すればするほど上には上がいることを痛感し、「自分はなんて下手なんだろう」「センスがないからこれ以上は無理だ」という思いが募っていきました。特にSNSで他の演奏者の方の素晴らしいパフォーマンスを見るたびに、自信を失い、自分の演奏を人前で披露することなど考えられなくなりました。
この自信のなさは、演奏だけに留まりませんでした。仕事では発言を躊躇したり、新しい挑戦を避けるようになったり。人間関係でも、どこか自分を偽ってしまい、本音で付き合える友人が少ないことに悩んでいました。演奏は好きなはずなのに、そこでも自信が持てない。それが、人生全体の停滞感につながっているように感じていたのです。
「できない」に焦点を当てるのをやめた
そんな状況を変えるきっかけとなったのは、ある時ふと、「なぜ私はこんなにも自信がないのだろう」と立ち止まって考えたことでした。そして、常に「できないこと」「足りない部分」ばかりに焦点を当てている自分に気づいたのです。上手い人と比較しては落ち込み、少しのミスで全てが台無しだと感じる。これでは、いつまで経っても自信など持てるはずがありません。
そこで意識的に始めたのは、「できたこと」に目を向ける練習でした。毎日、その日の練習でほんの少しでも改善された点や、楽しかった瞬間をノートに書き出すようにしたのです。たった数小節がスムーズに弾けるようになったこと、苦手なリズムが少し安定したこと、新しいフレーズに挑戦できたこと。どんな小さなことでも構わない。
最初は無理やり探しているような感覚でしたが、続けるうちに「あれ、意外と毎日何かしらできてるな」と思えるようになりました。完璧でなくても、前に進んでいることを実感できるようになったのです。この「小さな成功を積み重ねる」という考え方は、演奏練習だけでなく、仕事でのタスク達成や日常の小さな目標設定にも応用できるものでした。
演奏で培った力が、仕事や人間関係に波及した
演奏で少しずつ「できたこと」に目を向け、自信を育む練習を重ねるうち、不思議なことに他の場面でも変化が現れ始めました。
仕事では、以前ほど失敗を恐れず、積極的に意見を言えるようになりました。完璧でなくても、今の自分にできる最善を尽くし、そこから学ぶ姿勢が身についたからです。また、難しい課題に直面した時も、「このフレーズが弾けるようになるまで時間がかかったように、粘り強く取り組めばきっと乗り越えられる」と考えられるようになり、以前より諦めなくなったと感じます。
人間関係においても、他人との比較で自分を卑下することが減り、等身大の自分で人と接することができるようになりました。演奏を通じて、自分の「好き」や「こだわり」を表現する楽しさを知ったことで、他の場面でも自分の個性を受け入れ、自信を持って振る舞えるようになったのだと思います。すると、以前より自然体で人との関係を築けるようになり、深い話ができる友人も増えていきました。
演奏は「自己肯定感を育む場所」だった
演奏を通じて私が得たのは、単なる技術的な向上だけではありませんでした。それは、自分自身の「できる」を認め、成長を実感し、自己肯定感を育むための強力なツールだったのです。
かつては「たかが趣味」と思っていた演奏が、私の内面を耕し、人生全体をより豊かに、より前向きなものへと変えてくれました。演奏で培った自信、粘り強さ、そして自分を受け入れる姿勢は、仕事でも人間関係でも、そしてこれからの人生のあらゆる場面で、私の支えとなってくれると確信しています。
もし今、演奏で自信を失っていたり、それが他の悩みにもつながっていると感じている方がいるなら、まずは「できたこと」に目を向ける小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。演奏は、あなた自身を変える可能性を秘めているはずです。