#演奏で変わった私

「弾く気になれない日」を乗り越える。演奏のモチベーションの波と上手に付き合う方法を見つけた話

Tags: モチベーション, 練習, 継続, メンタル, コンプレックス, 自己変革, 乗り越え, 社会人演奏

演奏への気持ちに波があるのは、私だけでしょうか

社会人になってからも楽器演奏を続けている方、学生時代のようにまとまった練習時間を確保するのは難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。仕事や日々の生活に追われる中で、疲れてしまったり、思うように上達しなかったりすると、「今日はもういいか」と楽器に触る気力すら湧かない日が出てきます。

私自身も、まさにその波に悩まされてきました。練習計画を立ててみても、実行できない日が続くと自己嫌悪に陥り、「自分には演奏を続ける才能がないのかもしれない」とさえ感じることがありました。他人と比べてしまうと、さらにその気持ちは強まります。SNSで他の人の素晴らしい演奏を目にするたびに、自分の停滞している状況が際立ち、モチベーションは下がる一方でした。

なぜ「やる気が出ない日」があるのか

なぜ、あれほど好きで始めたはずの演奏に対して、やる気が出ない波が来てしまうのでしょうか。私の場合、いくつかの要因がありました。

これらの要因が重なると、「弾く気になれない」という気持ちはどんどん強固なものになっていきました。そして、その気持ちに抵抗しようとすればするほど、かえって負担に感じてしまうのです。

抵抗するのではなく、「波」を受け入れることから始めた

このモチベーションの波を乗り越えるために、まず私が試みたのは、「波がある自分」を否定しないことでした。「いつもやる気に満ち溢れていなければいけない」という思い込みを手放すことにしたのです。

これは、練習をサボって良いという意味ではありません。むしろ、波を受け入れた上で、ではどうすれば演奏を継続できるのか、という視点に立つための第一歩でした。

次に、具体的な行動や考え方の変化を取り入れ始めました。

  1. 「完璧な練習」を手放す: 「毎日1時間」と決めていた練習時間を、「たとえ5分でも楽器に触る」に変えました。指慣らしだけでも、音を出すだけでも良い。大事なのは、「完全にゼロにしない」ことだと気づきました。短い時間なら、疲れていてもできる場合があります。この小さな積み重ねが、自己肯定感を保つ上で非常に重要でした。
  2. 「義務」から「気分転換」へ視点を変える: 練習が「やらなければならない義務」になると、やる気が出ないときは苦痛でしかありませんでした。そこで、練習内容を「自分が今一番やりたいこと」に変えてみました。基礎練習ではなく、好きな曲を耳コピしてみる。楽譜通りではなく、自由にアドリブを入れてみる。難しいパッセージに挑むのではなく、心地よいハーモニーを奏でてみる。こうすることで、演奏が再び「楽しい時間」になり、気分転換として生活に取り入れやすくなりました。
  3. 波が来た時の「対処法リスト」を作る: モチベーションが下がったときに、どうすればまた弾きたくなるか、自分なりの方法をいくつかリストアップしました。例えば、
    • 過去の自分の演奏録音を聴き返し、少しでも成長を感じる部分を探す。
    • 好きな演奏家のライブ映像を見て、純粋に音楽を楽しむ気持ちを思い出す。
    • 楽器の手入れをする。
    • 音楽理論の本を少しだけ読む。
    • 全く違うジャンルの音楽を聴いてみる。
    • 誰かに自分の演奏を聴いてもらう約束をする(適度なプレッシャーを作る)。 これらのリストから、その時の気分に合わせて選ぶようにしました。

波を乗り越えるたびに、演奏へのブレない自信が生まれる

これらの取り組みを続けるうちに、やる気が出ない日が全くなくなるわけではありませんが、そうした波が来たとしても、必要以上に落ち込んだり、自分を責めたりすることが減りました。そして、波を乗り越えて演奏を再開するたびに、「どんな状況でも、自分は音楽から離れずにいられるんだ」という、ブレない自信が少しずつ生まれてきたのです。

演奏の上達はもちろん嬉しいですが、それ以上に、自分の感情の波とうまく付き合いながら、好きなことを継続できるようになったこと。これが、演奏体験を通じて得られた最も大きな変化かもしれません。

もし今、あなたが演奏のモチベーションの波に悩んでいるとしたら、それは決してあなただけではありません。完璧を目指す必要はありません。やる気が出ない自分を責める必要もありません。その波を受け入れ、自分にとって無理のない、「これならできるかもしれない」という小さな一歩から始めてみてください。

演奏を続けることで得られるものは、技術だけではありません。困難な状況でも、自分自身と向き合い、乗り越えていく粘り強さ。そして、何よりも、音楽がそばにあることの安心感や喜びです。

応援しています。